鹿島神宮(かしまじんぐう) 茨城県鹿嶋市宮中 2306-1 御祭神:武甕槌大神 |
日本書紀には、伊勢神宮、石上神宮、出雲大神宮の3つの神宮が出てくる。
一方、927年に全国の官社一覧を載せた延喜式神名帳には、
鹿島神宮、香取神宮、伊勢神宮の3つが出てくる。
この鹿島神宮と香取神宮(距離約13km)は、
伊勢神宮よりも古くからあり、
政治の中心が近畿にあった時代に、
3大神宮の内、2つが関東にあったことになる。
これは、この2社が、何か非常に特別な存在であったか、
関東もしくは東日本に隠された歴史があることを
示唆するように思われる。
元々西洋美術史専門だった田中英道氏(東北大学名誉教授)は、
フォルモロジー(形象学)という視点などから、
高天原は関東にあった、という説を唱えている。
聞いてみると、非常に説得力があり、
なるほど、そうに違いない、と思えてくる。
西の一之鳥居
前置きはそのくらいにして、
東国三社と言われる、鹿島神宮、香取神宮、息栖神社を
一日で回るべく、まずは、鹿島神宮の西の一之鳥居に向かった。
東西南北の4ヶ所に一之鳥居があるらしい。
ここは、北浦の水の中、水辺から30mあたりに建っている。
高さが水底から18.5m、幅が22.5mもあり、
水上鳥居としては、厳島神社のものより大きく、国内最大級だ。
創建時は、水が2km以上先の鹿島神宮の裏手まで来ていたが、
水が引いて、船着場となった今の場所に建てたという。
大鳥居
立派な鳥居だが、元は御影石の鳥居だったが、
東日本大震災の際に倒壊してしまい、
境内に自生する杉の巨木を用いて元と同じサイズで
2014年に再建された。
境内は広大な自然の森になっており、
そこに自生する杉の巨木を使ったのは良かったと思う。
大鳥居は西を向いており、ここから東へと参道が続く。
鳥居をくぐって数10m先の、駐車場へつながる道の角に
非常に気になる木があった。これは後で触れる。
楼門・拝殿・本殿
上の写真右の朱色の建物が楼門で、
入ってきた大鳥居はその奥である。
写真左が拝殿なのだが、楼門が西、参道手前が東なので、
拝殿はなんと北(北北西)向きである。
普通は、南ないし東向きであり、全くの逆。
他では聞いたことがない。
一般人は入れないが、神宮関係者の話では、
本殿内の神坐も正面を向いてなく、
直角で東を向いてるらしい。
これまた異例で、比較的よく知られた他の例としては、
出雲大社の神坐も本殿内で直角で、こちらは西を向いている。
上で紹介した田中先生は、
ここに国譲り神話にかかわる2社の関連があると述べている。
奥参道
お参りをして、東の奥宮へと続く奥参道を進む。
ここは、整備されているとはいえ、
原生林に近く、砂地のところが多い。
人工的なものが殆どないので、
タイムスリップでもしたような気分になる。
しばらく進むと、左手に鹿園がある。
国譲り神話において、鹿の神である天迦久神が、
天照大御神の命を武甕槌大神に伝える重要な役割を担ったことから、
現在でも鹿が神の使いとして大切にされているという。
(この後に行く香取神宮にも鹿園がある)
鹿島神宮の「鹿」もこれに関係あるのかと思ってしまうが、
その昔は、「鹿島」ではなく「香島」と書いたらしく、
それは違うようだ。
更に、突き当りまで進むと、右手に奥宮があるのだが、
改修工事中で見ることができなかった。
要石
奥宮で右に折れて、森の中を200mくらい進むと、要石がある。
前に鳥居が立ち、柵で囲まれている。
中央に少し凹みのある石の一部が見えている。
地中深くまで埋まる大きな石が、
地震を起こす鯰の頭を抑えていると古くから伝えられており、
水戸の徳川光圀公が、7日7晩にわたって掘らせたものの、
怪我人が続出したために途中で掘ることを諦めた、
という話が黄門仁徳録に記されているという。
(要石は、この後に行く香取神宮にもある)
折り返して、参道をまた数100m戻り、大鳥居の手前まで来た。
上の方で書いた、駐車場へつながる道の角の木が、
やはり何となく気になって写真を撮った。
すると、直径2mにもなりそうな大きなオーブのようなものが写った。
さて、これは何なのか?
広い広い鹿島神宮だったが、他の神社とはどこか違う。
氣の満ちたパワースポットではあるのだが、
静的なパワーを感じた。
強いパワーを発するというよりも、
例えて言えば、高速に回転するコマのように、
力強く回っているのに、見かけ上はほぼ静止しており、
バランスもとれている、というような感じだ。
高天原
鹿島神宮の境内の飛び地でもあるらしいのだが、
数100m東に「高天原」という地区がある。
田中氏の唱えるように、やはり、ここに高天原があったのか?
他にも、鹿島神宮のすぐ近くに猿田彦大神(道路衢神)という
面白い神社があったのだが、別の記事にて。
(2023/7/29追記)
その後、再訪することができました。
今度は、拝殿が改修工事中で、奥宮は元に戻っていました。
奥宮は、パッと見はこぶりなのですが、
奥宮としては大きいかも知れません。
なんだか、何かエネルギーがギュッと詰まっている、
そういう感じがします。
それが前に向かって放射されている感じです。
また、前回うっかり行きそびれてしまった
御手洗池にも行きました。
遠目には、水が淀んでいそうな雰囲気なのですが、
近づいてみると、非常に澄んでいて、鯉とかも泳いでおり、
かつては、ここで参拝前の禊をしたということが、
なるほどと思えます。
そして不思議なのが、池の上に突き出している木。
後の斜面からほぼ真横に太い幹が伸びています。
池の中の鳥居の上を通り、
どこか神秘的な雰囲気を醸し出しています。